01日 6月 2026
 川端康成と言えば『雪国』や『伊豆の踊子』が有名であるが、フェティッシュという観点で読むといっそう面白いのは『片腕』である。書き出しはこうだ。  「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝においた。  「ありがとう。」と私は膝を見た。娘の右腕のあたたかさが膝に伝わった。...

01日 5月 2026
ご存知の読者の方もなかにはいるであろうが、東京都世田谷区に拠点を構えるイシス編集学校というユニークな学校がある。オンライン学習で方法に関する学びを提供している学校なのだが、ここに入門する生徒全員が一番始めに取り組む【コップは何に使える?】という5分間で様々なコップの使い方をあげていくというお題が面白い。

01日 5月 2026
 誰もが日常のなかで経験する通り、友人や知人と会って話したことは数日も過ぎれば大概の内容は忘れてしまうものだ。だがその人の話し方や声の印象は何年経っても記憶に残っていないだろうか。  産声と共に生まれ、たくさんの声を交わし合い、息を引き取って死ぬ私たちにとって、声は余りにも当然にそこにあるため、歌手や声優やアナウンサーの仕事でもしていない限りは、普段意識する機会は少ないであろう。  フランスの哲学者ジャック・デリダは「フォネーム(声素)こそあらゆる記号のうちで最もイデア的である」と言ったが、声は大きさや小ささ、高さや低さだけではなく、書道の文字ように明暗があり濃淡のような要素もあるし、おそらく他にもさまざまな特徴を秘めている。  声に始まり、声に終わる私たちは、もっと声に興味を抱くべきなのであろう。今回は自身のライフスタイルや死生観をラップで表現するラッパーのKOHHの声をフェティッシュに読み解いていきたい。

【連載】『Fetish Library』 #1「なぜいまフェティッシュを問うのか?」
01日 4月 2026
世の中にとって直接的で分析的で方法化しやすい分かりやすいものではなく、間接的で感覚的である現象を共有することで社会が元気を取り戻していくような概念を長年ずっと探していた。18世紀のフランスの思想家であるシャルル・ド・ブロスの造語である「フェティシュ」は、世界を固着化し停滞させているありとあらゆる物事をそのおかしみの感覚で根底から揺さぶる力を持っていると直感している。

01日 4月 2026
 色(color)の存在は意識していなくても自然に目に写り込んでくる、私たちが対象からフェティッシュを感じとる最初のアンテナである。色味、色合い、配色の組み合わせから見えてくる景色に何か物語を感じとっているということでもある。  編集長網口の第1回目のコラムでは、部屋の一角を埋め尽くしてしまいたい衝動に駆られるほど好きだと豪語する戸田ツトムがデザインした「白い本」への偏愛模様をお届けする。