01日 5月 2026
誰もが日常のなかで経験する通り、友人や知人と会って話したことは数日も過ぎれば大概の内容は忘れてしまうものだ。だがその人の話し方や声の印象は何年経っても記憶に残っていないだろうか。
産声と共に生まれ、たくさんの声を交わし合い、息を引き取って死ぬ私たちにとって、声は余りにも当然にそこにあるため、歌手や声優やアナウンサーの仕事でもしていない限りは、普段意識する機会は少ないであろう。
フランスの哲学者ジャック・デリダは「フォネーム(声素)こそあらゆる記号のうちで最もイデア的である」と言ったが、声は大きさや小ささ、高さや低さだけではなく、書道の文字ように明暗があり濃淡のような要素もあるし、おそらく他にもさまざまな特徴を秘めている。
声に始まり、声に終わる私たちは、もっと声に興味を抱くべきなのであろう。今回は自身のライフスタイルや死生観をラップで表現するラッパーのKOHHの声をフェティッシュに読み解いていきたい。